グランピング施設の計画からオープンまでの流れ【2】成功するためのポイントと初期費用について

手軽に快適なアウトドア体験ができることで人気のグランピング。

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日本各地に、その土地の利や自然を活かし、趣向を凝らしたグランピング施設が続々とオープンしています。

事業者が新しい分野での活動を始めることを支援する「事業再構築補助金」を利用し、思い切ってグランピング運営を始めてみよう!と考える事業者・経営者の方も少なくありません。

でも、「グランピング事業を始めてみたい」と考えてはいるものの、何から始めたら良いのか、実際どのくらい予算が必要なのか、漠然としていて分からないことも多く、不安ですよね。

というわけで、今回はグランピング開業までの簡単な流れや初期費用の大まかな内訳についてまとめました!

そもそもグランピング事業は儲かるのか?

グランピング事業を始めたい、という方にとって、一番気になるのは、「そもそもグランピングって儲かるのか」と言うことだと思います。

一生懸命予算を集め、準備に時間を費やし、開業まで漕ぎつけても、十分な収益が見込めなければ意味がありません。

今からおよそ5年前くらいから日本で徐々に広まっていったグランピング・ブームですが、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言などの影響もほぼ受けることなく、むしろコロナ禍をきっかけに急成長した分野であることは、明らかです。

その背景には、ここ数年来のアウトドアブームに加え、感染症予防対策の観点から、できるだけ他の人と接することなく宿泊できるスタイルであること、自宅待機のストレスから逃れて自然の中でリラックスできること、などが挙げられます。

とはいえ、グランピング事業で成功するためにはいくつかポイントを押さえておく必要があることは確かです。

そこでまずは、グランピング事業で成功するためのポイントをいくつかご紹介します。

1. 都心・都市部からアクセスの良い場所を選ぶ

グランピングのユーザー層の多くは、都会から自然を求めてやってくる人たちです。

そもそも、暮らしている環境で十分自然が満喫できるのであれば、高いお金を払ってグランピングをしに行こう、という発想になりにくいですよね。

都会の喧騒に疲れ、自然の美味しい空気を吸って、青い空の下BBQを楽しんだり、夜空の下で焚き火をしたい!そんなユーザーが、1泊2日の日程で気軽に足を伸ばせる距離・・・車で片道2時間半以内、くらいが目安です。

感染症対策に心がけた生活をしていると、「できるだけサービスエリアなどに寄らないで目的地に到着したい」と考えている人も多いので、多くの人が手軽に訪れることのできる範囲で、都心や都市部から2時間半以内のエリアを選定することが大切です。

2. 景色の良い場所、民家の少ない場所を選ぶ

富士山が見えるグランピング施設やキャンプ場って、人気ですよね。

でも、富士山だけでなく、美しい渓谷や自然の景色、季節によって表情を変える紅葉や桜が綺麗な場所・・・、滞在する場所から、美しい景色を眺めてのんびりできるというのもグランピングでは重要な要素です。

また、視界になるべく民家が入らない場所がいいですよね。

こちらから向こうが見えている、ということは、向こうからも見られているのかな・・・と不安な気持ちになってしまいます。

できるだけ景色が良く、サイトから民家が見えない場所を選びましょう!

その他、土地の選定に関してはいろいろとポイントがありますので、詳しくは以下の記事も参考にしてみてください↓

グランピング施設の計画からオープンまでの流れ【1】土地選びのポイントや注意点まとめ

3. 若者向けのコンテンツ構築

グランピングの主な利用者は、20代〜30代の若者層と言われています。

カップルだったり、女子会だったり、子供連れの夫婦だったりと様々ですが、基本的には若い世代をターゲットにしていることを念頭に、若者に受けるコンテンツを用意することが重要です。

お洒落なインテリア、SNS映えするテント、料理メニューやアメニティも若者のトレンドを意識し、喜んでもらえることを意識すると良いですね。

若者といっても様々ですが、デザイナーズ家具や家電を揃えたり、高級アウトドアメーカーのギアを置いたり、流行りのジビエ料理を取り入れてみたり、アクティビティを提案したり、サウナを導入したり・・・。

これまでの「ホテル泊」とグランピングの大きな違いは、「宿泊先自体で滞在中に楽しめる」というポイントなので、滞在場所の居心地の良さ、スペックの高さを意識することが大切です。

4. 冬季も営業できる施設を目指す

Isbreen The Glacier - Glamping Resort offering a stay at the FDomes spherical structures
(出典:fdomes.jp

グランピング運営では、1年を通じて営業できる施設を目指すことがポイントです。

景色が良く、自然にあふれた場所でも、冬季は雪が降り積もって営業できない・・・となると、1年のうちの3分の1ほどは収益が見込めず、維持費や光熱費など支出だけが続くことになってしまいます。

そのため、寒い季節でもエアコンを使えるドームテントやトレーラーハウスなど、ゲストルームの選定にも注意が必要です。

また、いくらエアコン完備の施設を作っても、施設に車での道が冬季封鎖されてしまうような場所ではお客さんに来てもらうことができません。

あらかじめ「冬でも営業できそうか」を念頭に計画をスタートすることをお勧めします。

グランピング開業の大まかな流れ

では、グランピング開業の大まかな流れをご紹介します。

1. 土地の選定

まずは土地の選定です。

これについては、先ほどもご紹介した「グランピング施設の計画からオープンまでの流れ【1】土地選びのポイントや注意点まとめ」で詳しく触れていますので、参照してみてください。

2. 事業計画書(概算)の作成

次に、事業計画書の作成です。

事業再構築補助金を申請する事業者はもちろん、通常は銀行で融資を受けて開業準備を始めることがほとんどのため、事業計画書は作成する必要があります。

とりあえずはざっくりと概算で良いので、計画を練ってみましょう。

3. 保健所への相談

グランピング施設の運営は、旅館営業法の「簡易宿泊所」での届出となることがほとんどです。

開業したい施設の大枠が見えてきたら、まずは保健所に相談をし、今後必要となる手続きや条件について聞いておきましょう。

4. 各業者の選定、見積書の取得

ひとことにグランピングといっても、様々な形態があります。

思い切り手付かずの自然の中にテントを建てるだけ、というのも良いかもしれませんが、より快適さと便利さを求めるユーザー層からの支持を得るには、やはりある程度の整備が必要になるのが一般的。

土地を整地し、水道や電気などのインフラを整え、ウッドデッキを作ったり、植樹をしたり、外構や駐車場の整備をしたり、管理棟を作ったり・・・、しなくてはならないことがたくさんあります。

それぞれの工事や備品について、どの業者にお願いするのかの選定を行い、見積もりを取ることで、より正確に必要な予算が見えてきます。

5. 事業計画書作成

ひととおりの見積もりが揃い、業者も決まったら、本格的な事業計画書の作成にあたります。

採用するテントの種類や、想定するプランによって宿泊料金を設定し、1ヶ月に何組宿泊したらこのくらいの収益となり、支出はこれだけある、というのを現実的な形で数値化し、見直す必要がある部分があれば修正をしていきます。

宿泊料金設定は、他のグランピング施設のプランを参考にすると良いですが、基本的に3年〜5年での資金回収を目指せるようバランスが取れ、かつ現実的な計画書であることがポイントです。

6. 工事の着工と発注

事業計画書で目処が立ったら、設備工事の着工となります。

同時に、テントやインテリア、シャワー棟や管理棟の設備など、必要な備品の発注も行います。

ドームテントやトレーラー、バレルサウナなど、海外製品の場合には輸入に何ヶ月もかかる場合があるので、早いタイミングでの発注を心がけると安心です。

工事が着工できるタイミングで、諸々の発注も随時進めていくのが良いですね。

7. 開業の準備

工事も進み、発注もできて、いよいよ開業のイメージが整ってきたら、今度は開業の準備です。

具体的には、

  • インテリア家具、食器、リネンなどの各種備品の搬入
  • 許認可の申請
  • HPや予約サイトの構築(発注)
  • 広告
  • 予約プラン・料理メニューの作成
  • スタッフの研修

などが挙げられます。

特にグランピングは、大手宿泊予約サイトではなく、自分のHPから直接予約サイトに繋ぐ方が有効というデータがあるため、独自に予約サイトを構築する必要があります(併用も可能)。

まだ施設が仕上がっていない段階で広告や告知を行わなくてはならないため、CG画像などで施設イメージ図をできるだけ実際に近い形で作る必要もありますね。

また、グランピングは宿泊サービスのクオリティによっても大きくユーザー評価が変わる面があるため、スタッフの研修も必須です。

料理に関しても、「単に肉や野菜を焼くだけのBBQ」では物足りなく感じるユーザーも増えているため、見た目や味、素材のクオリティにこだわってしっかりとした準備が必要です。

地産地消で地元の食材を提供する施設も多く、好評のため、農家さんやお肉屋さんなどとの提携や打ち合わせもしっかりと。

8. 運営開始

これでやっと、オープンを迎えられます。

ここまで、補助金申請などの待ち時間がない場合でも、半年〜1年くらい、規模によってはそれ以上は一般的にかかります。

「グランピング、やってみようかな」と思ってから実現するのは1年後・・・と考えると、やるなら早く始めた方が良いですね。

グランピング開業の初期費用はどのくらい?

ここでは、前項の「概算での事業計画書作成」にあたり、一般的にグランピング施設の開業にかかる初期費用についてご紹介します。

1. 設備工事|200万円

水回りや外溝などの設備施工費用は、施設の規模にもよりますが、テント1棟分に対して200万円ほどかかります。

ただし、新たに下水道を引かなくてはならないとか、電気を引っ張ってくる、地盤改良が必要など、条件によって異なります。

2.デッキ構築|200万円〜300万円


(出典:glamping-gokan.com

テント泊でのグランピングの場合、ウッドデッキを構築してその上にテントを設置し、横にBBQスペースやアウトドアリビングスペースを設けるのが一般的です。

このウッドデッキの構築には意外とお金がかかるのであらかじめ把握しておく必要があります。

特にここ数年、木材の価格が高騰していることから、初期費用の中でも多くの部分をウッドデッキ構築料が占める可能性があります。

とはいえ、長い目で見ると丈夫で痛みにくい頑丈なウッドデッキを最初から作っておいた方が良い面もありますので、しっかりと予算を組んでおきたい部分です。

ちなみに、傾斜地など高さを調節してデッキを構築する場合には、さらに多くの予算が必要となります。

3.テント・内装|300万円〜400万円


(出典:fdomes.jp

ここ数年人気のドームテント+床材など内装の工事で、およそ300万円〜500万円ほどです。

エアコン効率が良く、丈夫で快適なドームテントはユーザー層からも高い人気となっていますが、床の断熱施工や床材の施工は必要ですので、しっかり予算に入れておきましょう。

よりオーソドックスなグランピングテント・コットンテントの場合は、テント代自体は比較的安くなりますが、通年営業が難しい、数年ごとに交換が必要、などのデメリットもあります。

トレーラーハウスは初期投資は多くなりますが、劣化が少ないというメリットがあります。

4.インテリア家具・備品など|150万円〜200万円

インテリア家具や備品は、ラグジュアリーさを求められるグランピングではしっかりと吟味して選びたいところです。

あまり安価なものばかりではチープな印象になってしまいますが、ゴテゴテ飾りすぎも逆効果なことも。

例えば同じブランドで家電を揃える、同じ色のものをアクセントで配置するなどの工夫で、金額以上の効果が出る場合もあるので、インテリアデザイナーなどプロに依頼してみるのも良いかもしれません。

また、エアコンも一般家屋用よりもよりハイパワーのものを導入するなど工夫が必要です。

5.開業準備費|50万円〜100万円

開業に向けてのHP作成、広告、予約サイト構築、許認可申請費用などです。

グランピング開業のために必要な許認可申請については、こちら↓の記事を参考にしてみてくださいね。

既存のキャンプ場をグランピング施設にするために必要な準備や許可申請と注意点まとめ

これらを併せて考えると、初期費用としてグランピングのテント1棟につきおよそ1000万円ほどは、かかることがわかります。

ざっくりとですが、参考にして進めていただけたらと思います。


今回はグランピング開業までの簡単な流れや初期費用の大まかな内訳についてまとめてみました。

これからグランピング事業に参入してみようかな、という方の参考になれば幸いです。

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