グランピング施設用のテントは建築基準法や旅館業法の対象?建築確認や条件・土地選びのポイントも

グラマラス+キャンピングの造語で、ワンランク上のアウトドア滞在体験を提供するグランピング。

グランピングの導入は、キャンプ場施設や地域活性化のカギとして注目されています。

中でもテント宿泊形式は、コテージやロッジ形式と比べてよりグランピングらしさを感じてもらえる上、低コストなため運営側にとっても有利です。

しかしその一方で、導入に際してクリアすべき法的な問題も見過ごせません。

そこでこの記事では、グランピング施設に使用するテントが建築基準法や旅館業法の対象になるのか、確認申請に必要な書類や条件、土地選びのポイントについて解説しています。

グランピング施設用のテントは建築基準法の対象?

グランピング施設用のテントが建築基準法の対象となるのかどうか、というのは、そもそもグランピング用のテントは建築物なのか?というところがポイントになります。

例えば、運動会や夏祭りなどで建てる日よけ用のテントや、普通にキャンプ場で寝泊まりするテントは、建築物ではないことは明らかです。

でも、基本的には常設して設置し、不特定多数の人が春夏秋冬問わず宿泊するグランピング施設のテントは、ほとんど建築物のような気がします。

建築物の定義を建築基準法の法第2条第1号で見てみると、次のように記載してあります。

法第2条第1号

建築物

土地に定着する工作物のうち,屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。),これに附属する門若しくは塀,観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい,建築設備を含むものとする。

法律の文章なので分かりにくいですが・・・、ざっくり言うと、

「土地に定着していて、屋根+柱または屋根+壁の構造のもの」=建築物
と考えるといいようです。

ところが、建築基準法には「屋根があるものは建築物であり,上部の材料が容易に取り外し自由である場合は建築物ではない」という記述もあります。

つまり、「屋根があるのは建築物だけど、屋根が簡単に取り外せるのは建築物ではない」ということです。
一般的に考えて、グランピング用であってもテントは骨組みに布や膜がかぶせてあるだけなので、取り外すことができます。ゆえに、建築物とは考えられない場合が多いようです。

また、建築物に関する法令の冒頭にある「土地に定着する工作物」にグランピング用のテントが該当するのかどうかというのが重要なポイントです。

一般的に、グランピング用のテントというのは

  • 台風や豪雪など天候が悪いとき
  • 営業期間以外
  • クリーニング時

などに、撤収することができるようになっているものがほとんどです。
木造や鉄骨造のロッジやコンテナなどと違って、骨組みと膜だけでできているテントは、大きな台風などの際にはさすがに中でゆっくりくつろげる状態ではなくなってしまいます。
そのため、各施設でガイドラインを設け、天候の悪いときには営業を中止してテントも撤収するという措置を取っています。

テントの土台部分も、撤収を前提としているため地面に固定はせず、ウッドデッキなどにペグやボルトなどで固定してあるだけ、つまり「土地に定着する工作物」ではない=建築物ではない、と考えられることが多いようです。

つまり、

  • 屋根はあるけれど簡単に取り外せる
  • 解体・撤去することができる

という2点から、グランピング施設用のテントは建築基準法の対象ではないとされる場合が多いようです。

ただし、同じテントであっても半永久的に設置しておけるようにしっかりと地面に固定してあるもの、屋根が外れない構造のものに関しては、建築物の扱いになり、建築基準法の対象となります。

また、「簡単に取り外せる」「解体できる」などの判断基準が自治体によっても異なる場合がありますので、必ず事前に設営地域の市役所などにある建築指導課に相談をしてみてください。

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グランピング施設用のテントの設置申請に必要な書類は?

グランピングの施設にテントを設置する場合、設置地域の建築指導課に相談をする必要があります。
その場合、建築基準法の対象とならないことを証明するために、設置するのがテントだということを示す書類が必要です。

また、当然ながらその土地にテントを建てる目的、権利、計画等について明らかにしなくてはなりません。

なので、まず建築指導課に相談に行く場合には、

  • 設置する予定のテントについての資料
  • どのように設置するのかの計画表(ウッドデッキを作って載せるのかなど)
  • 設置する場所(施設)の事業計画書など

を持参し、その後は担当者さんの指示に従って必要書類が別途あれば用意すると良いでしょう。

建築基準法の対象にならないことを表す、テントであること(屋根の取り外しが可能で、地面に固定せず、撤去もすぐに可能なこと)を示す書類と、どういった外観・サイズのテントかを示す書類は大切です。

グランピング施設用のテント設置は旅館業法の対象?

グランピング施設でテントにお客さんを泊めるサービスをすることは、旅館業法の対象になるのでしょうか?

旅館業法について調べてみました。

旅館業法とは:

旅館業法とは、旅館業の適正な運営を確保するために制定された法律。

施設を設けて寝具を用意し、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行うことを「旅館業」といい、旅館業を経営する場合には都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では、市長又は区長)の許可が必要になります。

グランピングの施設のように、常設のテントやトレーラー、コテージなどにお客さんが泊まれるサービスを提供することは、この旅館業法の第2条で定められた3つのカテゴリー(ホテル / 旅館・簡易宿所・下宿)のうちの簡易宿所にあたり、旅館業法の対象となります。

なので、営業許可を取らずに営業をしてしまうと、罰金などの罰則が課せられてしまうので注意が必要です。

ただし、キャンプ場などでテントをレンタルし、お客さん自身でテントを組み立てて宿泊する場合には、「宿泊施設を設けている」という定義から外れるため旅館業法の対象にはなりません。

2015年に経済産業省は「アウトドアレジャー体験事業と旅館業法の関係」についての文書を発表し、

”アウトドアレジャー体験事業において、参加者にテント等を貸与 提供し、アウトドアレジャー体験の対価として料金を徴収することは、旅館業法の適用を受けない”

”「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」は旅館業法の適用を受ける”

と定義付けをしました。(経済産業省「アウトドアレジャー体験事業と旅館業法の関係が明確になりました」から抜粋)

つまり、「テントをご自由に使ってアウトドアを楽しんでくださいね」という場合には旅館業ではなく(キャンプ場にもテントを貸し出しているところは多いですよね)、あらかじめテントを設置しておいて、そこに宿泊する料金を得る場合は旅館業、となるわけです。

グランピング施設のようにテントを設置してあっても、「日帰りグランピングでBBQ」は旅館業にはあたりません。

テントという特性から、建築基準法の対象にはならないグランピング用のテントですが、どういう形態で運営するかの方針によって必要な許可が枝分かれするというわけです。

  • グランピング用のテントを貸し出し、アウトドア体験を提供する・・・・・旅館業法の対象外
  • グランピング用のテントを設置し、宿泊や料理を提供する・・・・・・・・旅館業法の対象

グランピング施設用のテントには建築確認が必要?

テントを建てておいてお客さんに宿泊してもらう場合、旅館業法の対象になるため、その許可を得なくてはならないのですが、このとき「建築確認」というものが必要になる場合があります。

この「建築確認」の段になって、また「テントは建築物なのか」という建築法との兼ね合いが出てくるのですが、現在のところここは「グレーゾーン」と言われていて、それぞれの自治体によって対応が変わるようです。

  • 建築確認が必要・・・・・構造計算書のないテントは許可が下りない
           ・・・・・ジオデシックドームなど構造計算書があるテントは許可が下りる場合もある
  • 建築確認は不必要・・・・テントでもOK

この、「必要」と「不必要」の線引きが明確ではなく、各自治体・行政の窓口の担当者さんによっても意見が分かれるのだとか。

例えば、同じグランピングでもロッジなど明らかに建築物で床面積が100㎡を超える場合には、必ず建築確認を取る必要があり、建築基準法に則って作られていなくてはなりません。一方トレーラーを宿泊施設として使用する場合には「移動できる車両」として考えられるため建築確認は必要ありません。

しかし、テントを宿泊施設として提供するというサービス形態が新しいこと、テントを建築物と捉えるか否かの線引きがまだ明確でないことから、建築確認が必要とされるかどうかはそれぞれの自治体の判断によるものが大きいようです。

テント泊という形態のグランピングについては、まだ法律的にはっきりとしていない部分もありますが、現状としてテントだからと大きな事故や災害が引き起こされたという事例もなく、インバウンド効果や地方活性化などのメリットが期待されることから、この先もさほど厳しい規制は入らないのではないかと個人的には思います。

建築基準法についても、旅館業法についても、まだグレーゾーンとされる部分があるため、計画に際してはその自治体の行政担当の方とのコミュニケーションをうまく取り合い、協力し合える関係を築くことも大切ですね。

テントを設置するグランピング施設計画の土地選びの注意点

建築基準法の対象とならず、建築確認も必要ないとされることの多いグランピング用のテント施設ですが、施設のある土地によっては建築確認や防火対策が必要となる場合があります。

その土地が、

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 22条地域(建築基準法第22条指定区域)

などの都市計画区域に当てはまる場合、いくら建築物とはみなされないテントでも、旅館業法が適応される宿泊施設であれば、定められた防火基準を満たしていることを求められる可能性が高いです。

特に屋根・壁に相当する部分の素材について、火の粉が飛んでも焼け落ちない防火・耐火素材でなくてはならない、といった規制が関わり、一般的なテントの素材では許可が下りない可能性が高いため、住宅街などから近い場所の土地を検討するときには注意が必要です。

また、逆に農地であっても、気をつけなくてはなりません。

一般的に農地は農地転用という手続きをすれば、農業以外の目的に土地を使うことができます(手続きをせずに農業以外に使うと罰せられます)。
しかし、その農地が農振地域の場合には、転用することができず、農業以外に使うことはできません

また、「市街化調整区域」だと、開発許可が下りない可能性が高いです。

なので、これらの制限のない土地を探すことがまずは重要なポイントとなります。

その土地がどういった区域に属するのかは、自治体の都市計画課やまちづくり課などの窓口で教えてもらえるので、気になる土地があったら相談してみてください。

 

以上、グランピング施設用のテントは建築基準法や旅館業法の対象なのか?申請に必要な書類や条件、土地選びのポイントなどについて調べてみました。

参考にしていただけたら幸いです。

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