数年前から日本だけでなく、世界中で大ブームとなっているアウトドア。
中でもキャンプは、コロナ対策としても「安心して利用できるアウトドア泊」として、利用人口は増加する一方です。
それと比例して、日本各地に新しいキャンプ場も続々とオープンする中、未来型のサービスを提供する「スマートキャンプ場」が実験的にスタートした模様。
実用化されれば、これから目にすることも多くなると思われる「スマートキャンプ場」についてご紹介します!
スマートキャンプ場とは?
スマートキャンプ場とは、ICTを利用したサービスを利用者に提供するキャンプ場のことです。
ICT・・・、最近よく聞く言葉ですが、これって「Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー」の略で、要は「情報通信技術」のこと。
スマートインター、とか、スマートハウス、とか、スマートフォン、など、スマートがつくものには、このICTが大きく関わっていることが多いですよね。
インターネットやメール、アプリなど通信機器を利用したコミュニケーションをキャンプ場のサービスに取り入れよう、という取り組みです。
この取り組みを「キャンプ場のスマート化」として、2022年3月〜12月の間、検証実験を行うことを決めたのが、日本の自然を活かした取り組みを行う「株式会社 R.project」と同グループの「株式会社 Recamp」、そして通信技術のエキスパート「NTT東日本」です。
では「キャンプ場のスマート化」というのは具体的にどんな取り組みなのか、利用者にとって何が大きく違うのか、紹介していきます。
スマートキャンプ場でできること
スマートキャンプ場で受けられる、他のキャンプ場とはちがうサービスを簡単にまとめてみました。
管理棟に行かずにチェックインできる
キャンプ場予約サイト「なっぷ」と提携し、予約をして施設に到着してから、スマホで利用規約などをチェックして同意することで、管理棟に行かずにチェックインを行うことができます。
また、ネットワークカメラやスマートロックなどインターネットを利用したアプリを使うことで、鍵を直接受け取らなくてもコテージなど宿泊棟への入室も可能なのだとか。
コロナ感染症の予防から注目をされている「非接触型チェックイン」ですが、管理棟へ行くことすらせずにチェックインできるというのはかなり画期的ですね。
シャワー棟の空室状況がアプリでわかる
キャンプ場では、いくつかあるシャワー棟を複数のキャンパーが共有で使うことが多いですが、いざシャワーを使おうと思ったときには使用中で、タオルや着替えを持ったままウロウロ・・・なんてこともしばしばありますよね。
スマートキャンプ場では、アプリでシャワールームの空室状況がチェックできるので、「今はちょっと混んでいるから後にしよう」とか、「2つ空いているから家族で行っちゃおう!」がキャンプサイトで決められるので、とっても便利。
実際に使ってみたことはないですが、テントにいる時点で「使用開始」でキープできるなら、シャワー棟までの移動中に他の人に使われちゃった・・・もなくて安心ですね。
スマートストアでお買い物も非接触
管理棟でのお買い物も、スマホアプリで。
薪や飲み物など、買いたいものをスキャンして、買い物カゴに入れ、そのままスマホ上で決済を行えば、購入できます。
普段から現金をあまり持ち歩かず、スマホ決済に慣れている人だと便利に利用できそうですね。
まずはトレーラーハウス型のスマートストアで導入されるシステムで、取り組みの中では、地場特産品のテストマーケティング用店舗としての活用や、購買データとアプリ会員データをかけ合わせる事でのマーケティング支援なども検討していく、とのこと。
品揃えと利用者ニーズについてなど、データ化して検証・フィードバックをしていくという感じかな?
2022年3月から検証実験をスタート、ということで、まだこれからどんなスマートサービスが追加されるのか、またどんな問題点が出てくるのかなど、気になりますね・・・!
スマートキャンプ場の目的
キャンプ場をスマート化し、非接触でサービスが受けられるようにすることで、ユーザーにとっても管理者にとっても、利便性や安心感が付加されることはなんとなくわかりました。
でも、スマートキャンプの目的はそこだけではないそうなのです。
スマートストアを電力自給に
スマートストアとして使われるトレーラーハウスには太陽光発電システム・蓄電池などが搭載されています。
それにより、ストアで必要な電力を自給でまかなえ運用できることを目標とし、温室効果ガスの排出量を抑えて環境に優しいストア運営が可能に。
さらには、災害時には電力や飲食料の供給ができるトレーラーハウスとして、活用できるようにと考えられています。
アプリで地域全体を活性化
スマートストアでその地域の特産品取り扱いをすることで、訪れる人によりその土地の魅力を知ってもらい、さらにアプリを活用して周辺施設や観光地へ誘客したり、キャンプ場利用者だと受けられる特典をつけたりすることで、地域全体の活性化を目指しています。
キャンプ場の近くで遊べる場所、アクティビティ、景勝地などがあって、「〇〇キャンプ場の宿泊者様には〇〇プレゼント!」なんてあったら、ちょっと行ってみようかな、って気持ちに確かになりますよね。
スマートキャンプ場はどこで体験できる?
今回、「R.project」「Recamp」「NTT東日本」が2022年3月〜12月に検証実験を行うキャンプ場は、千葉県館山市にある「Recamp 館山」です。
(出典:nap-camp.com)
44年間愛され続けたデイキャンプ場「館山ファミリーパークキャンプ場」が閉園となり、Recampが宿泊もできるキャンプ場としてリニューアル。
2022年3月のオープンに合わせて、キャンプ場スマート化の検証実験を行うことになりました。
まだ検証実験段階ということで、改善点などもある段階かもしれませんが、この未来的なサービスを体感してみたい!という方は、ぜひ2022年12月までに利用してみてくださいね。
スマートキャンプ場のデメリット
画期的な取り組みにも見える「キャンプ場のスマート化」ですが、デメリットについてもまとめてみました。
設備投資にお金がかかる
既存のキャンプ場がスマート化をしようとする場合、wifiの整備やカメラなどのデバイス、システム利用料、各サイトへの電源供給など、設備投資にお金がかかるのではないかと思います。
まだ検証段階なので、実際に運用される際にどういった価格設定になるのか、気になるところですね。
デジタルデトックスできない
アプリを利用して様々なサービスが受けられることを、便利でうれしい!と感じる方も多いとは思いますが、中には「せっかく自然を感じたくてキャンプに来たのに、気がついたらスマホばかり見ていた」と思う方もいるかもしれません。
また、日頃から敢えてスマホをあまり使わない人、スマホの操作が不得意な人、新しいアプリを入れるのに抵抗がある人、など、スマホに対する考え方も人それぞれ。
様々なタイプの人が利用することを考えると、100%スマートキャンプ仕様というのはなかなか難しく、完全に非接触、無人販売、というのもハードルが高いのかな・・・と感じました。
人との関わりが希薄になる
キャンプ場のレビューでよく見かけるのが「管理人さんがとっても優しかった」「スタッフの方々の細やかな対応が嬉しかった」という言葉です。
施設自体の管理や設備に加えて、施設の方々との触れ合いもまた、思い出のひとつであり、「また来たい」と思うきっかけにもまりますよね。
感染症対策ということを考えると仕方がない部分でもありますが、全くの非接触、非対人、となると、どこか味気なく感じてしまいます。
アプリ内で、施設の方々とバーチャルでもよいので関わりあえた、直接声を聞いてやりとりができた、など、お互いの顔がちゃんと見えるような工夫があるなら良いかなぁと思います。
「お客さんとの交流もまた、やりがいのひとつ」と感じている施設オーナーさんも多いと思いますので、そのへんの落とし所があると良いのかな。
まだ始まったばかりの取り組み「スマートキャンプ場」ですが、今後どんなふうに進化し、どんなふうにキャンプ場に浸透していくのか、とても興味深いです。
参考にしていただけたら幸いです!