手軽に快適なアウトドア体験ができることで人気のグランピング。
日本各地に、その土地の利や自然を活かし、趣向を凝らしたグランピング施設が続々とオープンしています。
特に、新型コロナウィルスの感染防止対策として、アウトドアに注目が集まったこともあり、「他の人と接することなく完結できるアウトドア泊を快適に行える施設」としてグランピング施設の需要は高まる一方。
さらに事業再構築補助金や、国立公園でのグランピング開業のための補助金などもあり、これからグランピング事業を始めてみよう!と考える事業者も多いです。
でも、いきなり「グランピング施設を始めよう!」と思っても実際に計画からオープンまでは半年〜1年はかかるのが一般的。
やるべき準備や手続きを効率よく計画的に進めていかないと、途中で頓挫したり、営業開始日が大幅に遅れてしまって損害が発生したりというリスクもあります。
というわけで今回は、グランピング施設の開業の計画〜オープンまでの流れ【1】として、土地選びのポイントや注意点について簡単にご紹介します。
その1. 土地探し
自分の財産として有休地を持っている、またはもともとキャンプ場を経営している、運営しているホテルの横に有休地がある、といった恵まれた条件の方を除いて、ほとんどの場合にまず行わなくてはならないのが、土地探しです。
土地探しのためには、以下の項目について漠然とでも頭に浮かんでいないと、探すことすら始められないのでまずはここから考えましょう!
グランピング施設を作る地域
一般的には、自分の会社や自宅のある地域(長野県の会社であれば長野県、北海道であれば北海道)でグランピング施設を作りたい!という事業者さんが多いでしょう。
その場合、土地勘もあり、また施設づくりのための工務店や電気工事屋さんなども地元で手配ができるため、比較的スムーズに勧められそうです。
地域の活性化など地元への貢献も考え、なるべく自分のテリトリーで、という考え方ですね。
ただ、その土地でグランピング施設をオープンして、お客さんが集められるような地の利やポイントが少ない場合には、より魅力的な場所を探すのもアリです。
自分がグランピング施設を運営すると考えたときに、どういう場所でやりたいか、例えば・・・
- 富士山が見える
- 川の近く
- 海の近く
- 深い山の中
- 島
- 観光地の近く
- 高速ICから**分以内
などなど・・・
考えているうちに、少しずつ「こんな場所でこのくらいの土地があったらいいな」のイメージが湧いてくるかと思います。
土地の広さ
実際に売りに出ている土地の広さにある程度は合わせる必要もありますが、自分でも「このくらいの広さがいいな」という目処はあったほうが良いですよね。
例えば1000坪くらい、とか、3000坪は欲しい・・・とか。
ただ、広ければ広いほど、整備にも当然お金も時間もかかります。草木の伐採などアフターメンテナンスもずっと手がかかります。
買ったは良いけど、あまりにも広すぎて手に負えない・・・という話も実際にありますし、個人でやる場合はある程度自分で「このくらいの大きさまで」って決めておいたほうがよさそうですね。
かといって、あまりにも規模が小さいと、管理費や人件費などを賄えるだけの収益があげられないという心配もあります。
コロナの影響もあり、「貸切」タイプの宿泊形態も人気ですが、それでも定員数をある程度は確保できないと収益につながらない面もあるので、注意が必要。
一般的には最低でも1500坪(およそ5000㎡)くらいを目安に探す事業者が多いようです。
予算
まずは土地の値段もよく分からない状態からなので、不動産屋さんなどに相談して、その地域の土地の相場を把握してみましょう。
その上で、広さがこのくらいなら、値段はこのくらい、みたいのが見えてくるので、土地にかける金額の予算をだいたい決め、その範囲内で買える物件と条件を比べながら選んでいく感じです。
条件や値段の折り合いがなかなかつかないこともあるので、「何が一番重要か」を考えながら、妥協できる部分は妥協して・・・みたいな感じかと思います。
例えば、富士山が見える場所が良いと思っても、それだと高くなってしまう・・・という場合、サイトから富士山が見えなくても、富士山を眺められる場所が近くにあればよし、とするか、高くてもその場所にするか、はたまた富士山とは別の何かアピールポイントを見つけるか、みたいなことですね。
その2. 土地選びのポイント
大きさや立地以外にも、土地を選ぶポイントは色々あります。
逆にいうと、大きさや値段だけで選ぶと後々困ることになる場合もあるので、気を付けるべきポイントをあげてみました。
アクセス
グランピングで壮大な自然を味わいたい!とはいえ、コンスタントにお客さんに足を運んでもらうには、やはり都市圏から車で2時間以内の場所を選ぶほうが無難です。
休みの日に「自然の中でリフレッシュしたい」と考えるのは主に都市圏の人ですが、行きと帰りの移動でほとんど1日潰れてしまうとなると、なかなか週末だけのお出かけにはハードルが高くなってしまいますよね。
また、高速のICから降りて、長い山道を通らなくてはたどり着けない・・・というような場所も、小さな子供連れなどにはけっこうハードルが高いです。
できることなら、高速のICから15分以内くらいの場所で自然が豊かな場所、欲を言えば、ICを降りて施設までの間にスーパーやコンビニがあるとベストです。
また、首都圏の人だと車を持たない世帯も多いので、公共交通機関である程度近くまで行け、そこから送迎サービスができるような想定ができる場所も良いですね。
土地の区分
土地の区分によっては、開発許可申請の必要な場合や、下水道を引き込む工事が大変な場所など、色々とあるので注意が必要です。
特に注意が必要なのは、以下のように区分されている土地です。
第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域:「住宅専用」の土地なので、宿泊施設を作ることができません。
農地:農地をグランピング施設を作る場所に転用する手続きが必要となり、面積によっては数ヶ月かかる場合もあります。
市街化調整区域:建物が建てられない地域なので、管理棟やシャワー棟などの施工ができません。
景観条例のある地域:景観条例のある場所では、周囲の景観を乱さないように建物の色や形に様々な制約がある場合があります。
土地を探すにあたって、不動産屋さんに相談してみる、役所で公図、登記簿、道路台帳図を入手の上で、現地を見に行く、などの方法がありますが、営業していないキャンプ場などを扱う不動産をマッチングしてくれる「アウトドア不動産ナビ」というサービスもあります。
その3. 候補地が見つかったらチェックしたいこと
リサーチをする中で、「ここはどうかな?」という土地が絞られてきたら、実際に現地へ行ったり役所・不動産・専門の業者に聞いたりしてチェックしたいことがいくつかあります。
電気が引けるか
敷地内まで電気が通っているか、近くに電柱があるかなどのチェックが必要です。
近くまで電気が通っていれば、電力会社に依頼して電線を引っ張ってもらうことができますが、その場合には電柱の土地をどうするかなどで時間がかかってしまう場合もあるようです。
敷地まで車両が入れるか
山や森の一角、みたいな土地だと、そこまで行く道が通ってなかったり、通っていても整備しないと大きな車は入れなかったりといったことがあります。
施設の施工のためにはトラックで荷物を搬入する必要もありますし、お客さんが安心して来ることのできる道を整備できるかどうか重要ですね。
携帯電話の電波が入るか
全部のキャリアの電波が届かなくても、どこのキャリアだったら届くかなどのチェックをしましょう。
手持ちの機種がなかったらレンタルして確認を。
インターネット回線が引けるか
光通信ケーブルなどのサービス対象地域かどうかなど、事前に確認しておきましょう!
水道が来ているか、井戸が掘れるか
グランピングで宿泊をするにあたり、水道が来ているかどうかは重要ですよね。
事前に不動産などで「水道がきている」となっていても、実際には水道管が細くてグランピング施設で使うためにはお金をかけて拡張しなくてはならない場合もあります。
または、井戸が掘れるか、井戸を掘るにあたって地域の制限はないかなど調べる必要があります。
下水道引き込み工事ができるか
敷地に上下水道が来ていない場合は、引き込み工事をしなくてはなりませんが、立地によっては工事に莫大な費用がかかる場合もあるので、確認しましょう。
危険区域ではないか
土砂災害警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域などの指定を受けていないか、受けていなくても敷地内や敷地までの道路に危険と思われる箇所がないかもしっかりチェックを。
近くに川があったりする場合には、それまでに氾濫や土砂災害がなかったなども調べておきたいですね。
周囲の環境は?
車で15分以内の場所にスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどがあるか、騒音はないかなども調べておく必要があります。
昼間はのどかで静かな場所でも、夜になったらバイクや車の走り屋さんがたくさん集まるメッカだったり、高速が渋滞した時の抜け道でトラックがたくさん通ったり、ICからは距離があってみえなくても実際には高速道路が近くて夜中車の音が聞こえたり・・・、実際に夜も過ごしてみて周囲の環境をチェックしてみると良さそうですね。
意外と街明かりが近くて星が見えないとか、星は見えるけどヒルやアブなど不快な虫が大量に発生するとか、いろんなことがあるんじゃないかと思います。
平坦な場所があるか
グランピング施設だとよくウッドデッキの上に常設でコットンテントやドームテントが設置してあります。
このウッドデッキ、平坦な場所に施工するのと、斜面に施工するのとでは値段にかなりの差が出るそう。
斜面に作られたウッドデッキにドームテントが建っているのはすごく見栄えが良いですが、その分施工にもお金がかかるのでできるだけ平坦な土地が多いほうが良さそうです。
管理棟として使える建物があるか
旅館業法との兼ね合いにもなりますが、宿泊施設では「管理棟」を設けなくてはならないと都道府県の条例で決められている場合があります。
その場合には、テントなどの宿泊棟に加えて管理棟を設置しなくてはならず、コストもかさんでしまいます。
以前何かに使われていた土地を購入または借りる場合には、管理棟として使えそうな建物があるかどうかも大きなポイントになります。
というわけで今回は、グランピング施設の開業の計画〜オープンまでの流れ【1】として、土地選びのポイントや注意点について簡単にご紹介しました。
大企業なのか、それとも中小企業、または個人事業主と、規模によっても土地探しの基準は異なりますが、土地区分や電気・水道などに関してはとても重要なことなのでしっかりおさえて土地を探してみてください。
参考にしていただけたら幸いです!
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すみません。テントの適性と価格を知りたいのですが。キャンプ民宿事業の経営を考えています。答えていただけると幸いです。
コメントありがとうございます。当サイトは情報発信サイトのため、テント自体の適性や価格などにつきましては、導入を希望されているタイプのテント(ドームテント、コットンテントなど)の販売元様にお問い合わせください。検索で「グランピング ドームテント 販売」等と入れると出てきます。プロジェクトのご成功をお祈りします。