長く続くコロナ禍に苦しむ中小企業、中堅企業、個人事業主などの事業再構築を政府が補助してくれる「事業再構築補助金」の第1回目が2021年3月26日公布されました。
1兆1485億円が予算として計上されている大きな補助金で、最大1億円の補助金がもらえるということもあり大きな注目を集めていて、令和3年度にはあと4回公募される見込みとなっているため今からでも準備をしたい、という事業主も多いと思います。
事業再構築補助金の対象企業や補償内容についてくわしくはこちらの記事を参照ください↓
ただ、政府の補助金申請は多くの場合、申請の受付開始から締め切りまでの期間が短く、事前に準備をしておかないと必要な書類が揃わない恐れもあるため、あらかじめ必要書類を把握していつ次回の公募が開始しても大丈夫なように整えていきたいものです。
というわけで、今回は事業再構築補助金の申請に必要な書類と、見積書を提出する時期についてまとめました。
事業再構築補助金の受給申請には、以下のような条件があるため、主にその条件に見合っていることを証明する書類などの提出が必要となります。
上記の条件を満たすことを証明するために必要にな資料も含め、事業再構築補助金の申請に必要な書類について、ひとつひとつ確認して行きます。
必要書類はPDFファイル化して、電子申請フォームに添付する必要があります。
事業再構築補助金の受給申請は、インターネットの電子申請フォームから行います。
この電子フォームに記入を行う前に、「GビズIDプライムアカウント」への登録が必須となり、あらかじめ「gBizID」のサイトにアクセスして登録の手続きが必要です。
ただ、この「GビズIDプライムアカウント」への登録には申し込みから登録完了まで3週間かかるとされているため、早めに登録の手続きが必要です。
もしも申請までに登録が間に合わない・・・という場合には、申請即日に取得できる「暫定GビズIDプライムアカウント」(申請用紙と印鑑証明書 / 印鑑登録証明書を、申請後に郵送して通常のアカウントへ移行)を取得し、公布決定までに通常アカウントへ移行するという方法もあります。
無事に「GビズIDプライムアカウント」への登録ができると、電子申請フォームに記入し申請することができるようになりますが、その内容もかなり細かいので、あらかじめ内容を確認しておく必要があります。
参考→電子申請入力項目
申請入力項目に入力する情報(売上高など)に付随して提出をしなくてはならない書類をまずそろえなくてはならないため、実際にはこの電子申請の入力が申請準備の最終段階になるかと思います。
事業再構築補助金の受給申請をするためには、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する必要があります。
上記の条件を織り込んだ事業計画を、認定経営革新等支援機関(補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も)と一緒に最大15枚の資料にまとめます。
認定経営革新等支援機関は、↓の検索システムで県別・業種別に検索ができます。
補助金額3,000万円を超える事業計画については金融機関も共同で作成する必要がありますが、金融機関が認定経営革新等支援機関も兼ねている場合にはその金融機関とだけに一本化することができます。
補助額の率は中小企業で2/3、中堅企業で1/3ということなので、ざっくり考えても補助金額が3,000万円を超えそうな場合には上記検索システムで「金融機関」を選び、普段から取引のある銀行が該当していれば相談してみると良さそうです。
認定経営革新等支援機関の選び方や支払う代金についてはこちら↓
事業計画を一緒に作りましたよ、という確認書を認定経営革新等支援機関または(および)金融機関に出してもらいます。
補助金の公募に申請をし、公布の決定が出るまでには厳正な審査が行われるため、数ヶ月がかかる見込みです。
正式に補助金が公布されるまでの期間に、前倒してプロジェクトを進めたい場合には、事前着手承認申請書を提出します。
その場合、公布決定前の分の支出も補助金の枠に入れて計算することができますが、審査に通らない場合もあるため「補助金がでなければ事業の再構築はしない」という場合は注意が必要です。
また、事前着手承認については今後扱いが変更となる場合があるそうなので、その都度公募要項を確認してみてください。
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高と、コロナ以前の同3か月の合計売上高が確認できる資料を提出します。
法人・個人事業主いずれも、以下の5つの書類添付が必須となります。
① 法人の場合
② 個人事業主の場合
要するに、
この2つの時期の売上が分かる確定申告書、売上台帳などが必要となります。
コロナ前と後で10%売り上げが下がっていることが条件となるので、該当する月を選んで提出する感じです。
3ヶ月は連続していなくてもOKですが、比較するのには同じ月ではならない点を注意しましょう!
事業再構築補助金の申請時に、「緊急事態宣言特別枠」として補助率が引き上げられられます。
令和3年の、国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響により、令和3年 1 月~3 月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していることが条件となり、該当する場合には「令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けたことの宣誓書」を提出します。
令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けたことの宣誓書(Exel)
特別枠や補償内容についてはこちらの記事を参照ください↓
直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表、が必要です。
内訳明細は不要で、2年分用意できない場合は、1年分でもOK。
決算書の添付ができない中小企業等は、事業計画書及び収支予算書を添付します。
「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポ plus」の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成し、PDFに変換した上で添付します。
この時、上の1.で紹介したGビズIDプライムアカウントが必要となります。
補助金の通常枠ではなく、以下の2つの特別枠に申請する場合には、別途海外事業の準備状況を示す書類の提出が必要です。
必要なのは、以下の書類です。
今回の事業再構築補助金の申請の際に、緊急事態宣言の影響でより大きく売上が減少した企業は、合わせて「緊急事態宣言特別枠」に申し込むことができます。
通常枠の条件を満たしていて、さらに、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象となり、従業員の数に応じて以下の助成金がもらえる可能性があります。
緊急事態宣言が発令された都道府県の事業者だけでなく、影響を受けていれば業態や場所問わず申請可能。
申請したからと言って必ずもらえるわけではなく、採択で選ばれますが、もし採択で外れても事業再構築補助金の通常枠に「加点ポイント」されて通常枠での審査に進めますので、該当する事業者さんは申し込んだ方が良いですね。
上記9.で記載した「緊急事態宣言特別枠」に申し込む事業者は、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している証明書類と宣誓書が必要です。
必要となる書類は、上の5.で紹介した通常枠に必要な「10%売り上げが減少」と同様です。
こちらも上記9.で記載した「緊急事態宣言特別枠」に申し込む事業者が対象で、任意での提出です。
2021年1月~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類で、任意ですが審査対象となるのでもしも上回る場合には提出しましょう。
「緊急事態宣言特別枠」に申し込まない事業主でも、上記であげた10・11の証明書類を添付することで、審査の際に加点となります。
「緊急事態宣言特別枠」は、申し込んでもし採択されなくても、自動的に通常枠で改めて審査をしてもらえるため、該当するのであればあらかじめ「緊急事態宣言特別枠」に申し込むのが良いんじゃないかなと思います。
以上が申請に必要な書類です。
一見するとたくさん必要で面倒なように見えますが、売上減少についての書類などはわりとすぐに揃えることができますね。
事業計画についても認定経営革新等支援機関または(および)金融機関と一緒に作るということなので、そこまでハードルは高くなさそうです。
前項で紹介した事業再構築補助金の受給申請時には、事業計画として必要資金の計算をして入力することが求められるため、個別に見積もりをとる必要があります。
でも、その見積もりはあくまで計画案の提出用であり、見積書自体を提出するのは、補助金の採択が終わって結果が知らされ、実際に交付申請の手続きをする際になります。
このとき、50万円以上の資材を購入する場合には、同一の条件での相見積り(2社以上からの見積書)を取り、基本的には最も価格が安いものを選定しなくてはなりません。
もしも価格が最も安いものを選ばない場合には、その根拠と、価格の妥当性を証明する書類を提出する必要があります。
あまりにも一般価格からずれている場合などは、補助対象経費の見直しを求められることもあるため、スムーズに補助金の交付を受けるためには購入品の選定もしっかりと行う必要がありそうです。
ちなみに、学識経験者やフリーランスのコンサルタントなどのに依頼する場合の経費についても、依頼内容に見合った報酬かどうかの妥当性を証明するために、複数の見積を取ることが必要です(1日上限5万円)。
公募内容について詳しく知りたい方は、こちらを参照ください↓
第1回公募要項(今後の公募については変更がなされる場合もあります)
以上、事業再構築補助金の申請に必要な書類と、見積書を提出する時期についてまとめました。
コロナによって事業の再構築を必要としている企業・個人事業者はとても多いと思います。この事業再構築補助金は、採択される可能性が比較的高い補助金ではありますが、実際に課題に掲げたV字回復ができるかどうか、というのはまた別の話です。
補助金がもらえるとはいえ、補助率は中小企業で2/3、中堅企業で1/2(4000万以上は1/3)とのことで、自社でも融資を受けるなどして資金繰りをしなくてはならないということもふまえて、しっかり事業計画を立てることをお勧めします。
参考にしていただけたら幸いです。