手軽に快適なアウトドア体験ができることで人気のグランピング。
グランピングが日本で流行し始めた当初はコットンテント(ベルテントやノルディスクなど)が宿泊棟として一般的でしたが、ここ数年で爆発的に人気となっているのがドーム型のテントです。
コットンテントに比べて丈夫で長持ちすることに加えて、内部を快適な状態に保ちやすく、天候や気候に左右されない通年営業が可能なことから、グランピング施設での導入が増えています。
とはいえ、ドーム型のテントは骨組みに半球型の幕がかかっているだけで、床の部分は製品として付属していないことがほとんどです。
商材としてドームテントを購入しても、それを置く場所(ウッドデッキなど)の整備や床の加工は、購入者が工務店などに依頼して作ってもらうことになるのが一般的。
世界的に木材の値段が高騰している昨今では、ウッドデッキや床材の制作にもお金がかかることもあるので、ドームテントに付随する施工費をしっかり予算に組み込んでおくことが大事です。
というわけで今回は、グランピングの宿泊棟としてドームテントを導入する場合、どのように設置するのが一般的かまとめました。工務店さんによっては「ドームテントの中の加工なんてやったことがないから分からない」と言われる場合もあるので、参考にしてみてください。
1. ドームテント設置場所を水平に作る
ドームテントを設置する場合、最も大切なのは水平な設置場所を作ることです。
ドームテント強度は水平な場所に建つことを前提に計算されているので、極力歪みのないよう、水平をきっちりと計測して作りましょう。
ウッドデッキの場合
最も一般的なのが、ウッドデッキ上にドームテントを設置するパターンです。
ウッドデッキは雨で崩れやすい場所を避け、設置場所が斜面の場合は束を調節して表面が水平になるようにします。
また、ドームテント の重量でたわまないように注意しましょう。
工法によりますが、例えば束(つか)同士の間隔は91cm、その上に大引(105×105mm)を渡し、さらに板材(ツーバイシックス:140×38mm)を張っていくのが一般的です。
木材の種類もウリン、イペ、レッドシダーなど色々とあり、値段や特徴もそれぞれにあるので、工務店さんと相談してみるのがおすすめです。
天然木だと数年ごとのメンテナンスなども必要になるという理由から人工木を採用する施設も増えています。
コンクリート(土間)の場合
ウッドデッキではなく、コンクリートで円形の土間を作り、その上にドームテントを設置するというパターンもあります。
ただ、ドームテントに合わせて円形の土間を作ってアンカーで固定する場合、それが「基礎である」と考えられてドームテントが建築物だという扱いになってしまい、建築確認などの手続きが必要になる可能性があるので、事前に行政に確認しましょう。
また、広い面積にコンクリートを打ってそこにドームテントを配置する場合、水はけを考えてドームの中心にあたる部分を高くしておくなど工夫が必要です。こういう作業はプロでないとできないので、しっかり工務店さんや大工さんと相談をしながら行いましょう。
2. 内部の床を施工する
例えばウッドデッキの上にドームテントを置いただけでは、ウッドデッキの隙間から外気や虫がダイレクトに入ってくるため、何らかの加工をする必要があります。
ご紹介するのは、一般的に行われている加工の例ですが、ほとんど一般住宅の床加工と変わらないので、工務店さんに相談しながら良い方法を組み合わせてみてください。
床にグラウンドシートを張る
まずは、ドームテント内部のウッドデッキに、ドームテントの床面積よりも少しはみ出るくらいの大きさで、樹脂(PVCなど)のシートを貼り、ウッドデッキの隙間とドーム内部を遮断します。
このシートは床加工をし終わった時点で、もう交換することなどが難しくなってくるので、経年劣化しにくい素材を選んだ方が良いです。
また、グラウンドシートを張る前に、ウッドデッキには防水や腐食防止の塗料を塗っておくことで見えない場所の劣化を防止できます。
床面だけでなく、床から10cm〜15cmくらい壁面に立ち上がるようにして、下からの冷気の上昇も防ぐようにすると良いです。
断熱材を敷く
次に、断熱材を敷き詰めます。
スタイロフォームなど、一般的に住宅の床加工に使用するものでOKです。
グラウンドシートを敷いた上にスタイロフォームだと平になりにくい場合などは、間に薄い板材を挟むのも良いです。
コンパネを敷く
さらに、合板のコンパネ板を敷き詰めていきます。
これでさらに断熱効果も上がり、機密性が保たれます。
フローリングなどを敷く
最後に、フローリングなど床材を敷き詰めて完成です。
フローリング素材も色々ですが、床の材質でかなりお部屋の印象も変わるため、インテリアの大切な要素としてしっかり吟味することが大切です。
靴を脱ぐ場所を確保する
注意点としては、一般的なドームテントは土足で出入りをするため、入り口を入ったところに靴を脱ぐ場所を確保することです。
床の加工を一部少なくして段差をつける、あるいはマットを敷くなどして、「ここからは靴をぬいでくださいね」がわかるようにしておくと良いです。
必要に応じて床暖房なども
いくら快適なドームテントとはいえ、寒さが厳しい地域ではどうしても一般家屋に比べると底冷えしてしまいます。
寒冷地域にも対応した大容量のエアコンを使ったり、炬燵やホットカーペットを設置したり、また施工の段階で床暖房を入れるなど工夫をしている施設もあります。
また、薪ストーブを置きたい場合などは、薪ストーブを設置する場所に断熱のシートを敷いたり、そこだけ不燃の素材(石板や煉瓦など)を使うなどの施工も必要になるので、あらかじめ工務店さんなどと計画をしておくことをお勧めします。
以上、グランピングの宿泊棟としてドームテントを導入する場合、どのように設置するのが一般的かまとめました。
参考にしていただけると幸いです。