手軽に快適なアウトドア体験ができることで人気のグランピング。
2016年ごろから世界的に流行しているグランピングですが、今回はグランピングのようにアウトドアを楽しみながら宿泊ができる形態として、これからどんどん進化していきそうなアウトドアステイの形態を5つご紹介します!
アグリツーリズモとはイタリアが発祥の観光体験で、イタリア語の「アグリクルトゥーラ(農業)」と「ツーリズモ(観光)」を掛け合わせた造語です。英語だと「アグリツーリズム」。
元々は農家さんが提供している宿泊形態で、一昔前は収穫の時だけ若者を雇って行っていた農作業を「体験してみたい!」という人向けに宿を提供しながら、農業体験をしてもらう、というものです。
日本でも、食育を兼ねて「野菜の収穫体験」のアクティビティを付加したグランピング施設もちらほらありますよね。
アグリツーリズモは、そこからもう一歩踏み込んで、より本格的な農業体験を行うというもの。
例えば、ワインを作っている地方でワインのテイスティングをするだけではなく、ブドウの収穫や実際の製造工程を体験してみるとか、野菜の収穫だけでなく間引きや水やりなどの作業を体験するとか・・・、宿泊の間にちょっとだけ触れてみるだけでなく、実際の農家さんと同じような生活を1日なり2日なり、体験してみるという感じですね。
日本でいうと「農泊」が一番近いですが、農泊にさらに高級感をプラスしたイメージです。
2019年11月にグランピングの先駆者でもある星野リゾートが「アグリツーリズモリゾート」をコンセプトとしたリゾート施設「リゾナーレ那須」をオープンしたことから、日本でも少しずつ名前が浸透しています。
(出典:risonare.com)
例えば、朝早く起きて夜早く寝る、収穫したものを使って食事を作る、楽しいことも大変なことも含めて農業というものに触れる宿泊体験、「農泊」によりレジャー色を加えて、バランスよく行うことでグランピングのように高級感を加えることもできますね。
日本には伝統工芸や食文化など、いわゆる「修行の文化」がありますよね。
テクノロジーの進化や機械化で、だんだんと失われている文化ですが、実はインバウンドを対象にこの「日本の修行体験」が密かに注目されています。
お寺に泊まる宿坊体験、山中で修行をする山伏体験、忍者修行体験など・・・、日本の古い文化を体験できるということで主に海外からの観光客を対象に行われていますが、同じ日本人でも全くの異文化だったりするので面白そう・・・!ですよね。
例えば「和紙梳き」「藍染」「日本人形作り」「お茶」「竹細工」などなど・・・、日本の伝統工芸を体験してみようというワークショップは市町村単位でイベント的に行われたりはしていますが、宿泊も含めて「より本格的な修行体験をしてみたい」というニーズもあります。
これまで、職人の道を歩むことを目的とする人にしか開かれていなかった「修行」という体験を、レジャーとしてツアーを組んだり、宿泊施設と職人がタッグを組んで、地方とその文化を活かして地方創生にもつながりそうですね。
リュクスペディション(luxpeditions)というのは、ロンドンに拠点を置くBrown + Hudsonが作り出した言葉で、「リュクス(贅沢)」と「エクスペディション(遠征)」を掛け合わせた造語です。
自然を楽しみつつも、美味しいものを食べて、快適なベッドで眠る、というコンセプトはグランピングに似ていますが、リュクスペディションは日中の過ごし方にも重きを置いています。
ちょっとしたトレッキングとか、星空を眺める、といったアクティビティではなく、「本格的なアドベンチャー」を提供することがコンセプトです。
例えば沈没船を探索したり、壮大な渓谷でクライミングしたり、オフロードカーやマウンテンバイクで荒野を移動しながら旅をしたり、ジャングルを彷徨ったり・・・、それでいて、夜はシャンパングラスを片手にミシュランの星付きレストランのシェフの料理を楽しみ、フカフカのベッドで眠れる・・・、まるで「ハリウッド映画の役と、それを演じる役者の両方」が体験できるような感じです。
しかも帰りはチャーター機で帰れたりするので、時間も効率的に使えるし、必要以上に疲れることもないという、至れり尽くせりのツアー。
日本でも、例えばけっこうキツイ山登りを体験、途中で1泊して日の出を眺めたい・・・、なんて場合に、泊まる場所はグランピング並の快適なテント、夕食も美味しく贅沢に楽しみ、もちろんお風呂にも入れ、そして翌朝、山頂では朝食を届けてくれ、さらにヘリでお迎えに来てくれる・・・こんな感じが近いかな、と思います。
グランピングも、宿泊だけでなくプラスアルファのアクティビティに力を入れている施設も増えていますが、振り切ったアドベンチャーを用意すると差異化もできそうですね。
ワイルドキャンプ、というのはその名の通り、いわゆるサバイバルなどミニマムで過酷な状況下での滞在を体験することです。
キャンプ場でのキャンプではなく、無人島や人里離れた山奥など、より自然に近い環境で、少ない物資で過ごしてみる。
自分で火起こしをして、漁で取った魚を焼いて、飲み水を確保する・・・。
テレビ番組「冒険少年」などを目にして、「あんなこと、やってみたいな」と頭を過ぎります。
でも、実際にひとりでできるか?といったらなかなか難しいですよね。
まずは道具もないし、ひとりでどこに行ったら良いかも分からないし、途中で何かあっても見つけてもらえないんじゃないかと思ったら不安しかありません。
でも、テレビのように実際はスタッフさんが管理してくれていて、安全が確保されている中で、そういう体験ができるとしたら、やってみたい、という人も多いのではないでしょうか。
実際、グランピングのブームと比例して、ミニマムキャンプの需要もふえている模様。
サバイバルセット付き、何かあったらすぐに管理人さんが呼べる、火起こしや漁も教えてくれる、最悪困ったら水や食糧も手配してくれる、など「プチサバイバル体験をするためのサービス」もこれから広がりそうな予感がします。
大型のキャンピングカーやトレーラーというと、海外のイメージが強かったのですが、ここ数年で日本でもキャンピングカーの需要が一気に高まっています。
各地でキャンピングカーの見本市が行われ、幕張メッセで行われた「ジャパンキャンピングカーショー2020」には66,000人もの来場者があったとか。
日本RV協会が発行する「キャンピングカー白書2021」によると、国内のキャンピングカー保有台数は約12万7400台(対前年比で106.7%)、2020年の販売総額は過去最高の582億円とのこと。
自由に移動しながら宿泊もできるキャンピングカーやトレーラーハウスですが、道の駅やサービスエリアに停車して泊まることは禁止されています。
キャンピングカーやトレーラーで利用できるキャンプ場を探していくしかない、でもキャンピングカーの台数に大して、利用できる施設が少ないことが課題となる中、日本RV協会では「RVパーク」の整備を進めています。
2021年10月現在、217箇所のRVパークが全国に開設され、キャンピングカー泊を楽しみながら旅行をしたり、テレワークをしたりする人もどんどん増えています。
ホテルやグランピングなど宿泊業だけでなく、レストランやショップなどでも、駐車スペースや電源・トイレなど基準を満たせばRVパークを開設することができ、キャンピングカーの宿泊料金を設定することもできるので、施設に付加価値をつけることができるのではないかと思います。
日本RV協会:パーク開設のお問い合わせ
くるま旅:全国のRVパークの検索結果
以上、グランピングに続いてこれからどんどん進化していきそうなアウトドアステイを5つご紹介しました。
参考にしていただけたら幸いです!