手軽に快適なアウトドア体験ができることから、ここ数年の間に急拡大しているグランピング。
新型コロナウィルス対策で他の人とほとんど接触することなく滞在ができるということからも、コロナ禍でも業績は伸び続けていて、日本全国各地にその土地の自然や景観を活かした施設が続々とオープンしています。
グランピングというと、一般的にはテントで宿泊するパターンが多いですが、中でもここ数年人気なのがドームテント。
天井が高く開放的で、エアコンやストーブをつければ一年中快適に過ごすことができ、メンテナンスにかかる手間も少ないことから、施設運営者にとっても、利用客にとってもメリットが多いと言われています。
でも、実際にグランピング施設に導入しようとした場合、気になるのが法律関係ですよね。
これまでに、建築基準法や旅館業などの法律についてはこちら↓の記事でご紹介してきましたが、
今回は、グランピングで宿泊棟としてドームテントを導入する場合、消防法は関わってくるのか?ドームテントの素材は不燃や防炎でないといけないのか?について調べてみました。
ドームテントの素材というと、一般的にフレーム、外側の膜、内側の壁、カーテン、の4つの素材が主になります。
そのうち、フレームは金属なので燃える素材ではない、ということで、問題となるのは、
この3つの素材になります。
(出典:glamping-shizuoka.com)
外側の膜の素材が不燃でなくてはならないかどうか、というのは、消防法というよりは、建築基準法の問題になります。
一般的に、グランピングで使用されているドームテントは「建築物ではない」という扱いで、建築確認申請などを通す必要がない場合がほとんどです。
ただし、都市計画法で定められた「22条地域(燃えにくい建材を使用した屋根や外壁で家を建てなければならない地域)」でドームテントを設置する場合や、ドームテントが建築物だとみなされて建築確認申請が必要になった場合には、他の住宅と同様に「燃えにくい素材」である必要があります。
ドームテントが建築物であるとみなされた場合、住宅で言うところの「屋根」と「外壁」にあたる部分(=外側の膜)が、火種を置いても抜け落ちない素材(飛び火の認定)で、かつ難燃性なことなどが日本の建築基準法で定めた素材でなくてはなりません。
飛び火では国土交通大臣認定品でDWやDRの認定番号が付いているもの、難燃ではRM、REの認定番号のもの、と厳密に決まっているため、日本で多く流通している海外製のドームテントの外幕では、建築確認申請を通すことが難しいです。
ドームテントが建築物であるとみなされるケースは稀ですが、あらかじめ設置場所の市町の都市計画課や、県の土木事務所に聞いてみることをお勧めします。
最近ではドームテントの中に個別のトイレやシャワーを設置してある場合もありますが、その場合、より「建築物である」とみなされる可能性が高まりますので、そのあたりもしっかりと確認しましょう!
ドームテントの多くは、内側にキルティングのような断熱材が取り付けられています。
(出典:glamping-shizuoka.com)
グランピング施設で設置する場合、消防法では、この素材について何か決まりがあるのでしょうか?
内装の素材については、消防法により「防炎(=燃えにくい)」を義務付けられている場合があり、それは以下の様な場合です。
そもそも、防炎素材でなければならない理由は、「火事になったときに避難できる時間の猶予を得るため」「他への延焼を防ぐため」です。
グランピング施設はカテゴリーとしてはホテルで、不特定多数の人が出入りする場所ではありますが、ドームテントから出さえすれば屋外であること、また他のドームに延焼するほど隣接していないことから、内壁の素材は防炎である必要はありません。
(出典:blissful-g.jp)
カーテンの素材についても、内壁の素材と同様に、屋外でそれぞれ間をあけて設置してあるドームテントに関しては、防炎である必要はありません。
ただし、ドームテントが建築物だと判断された場合で、内部に薪ストーブや石油ストーブなどの火器を使用する場合には、壁やカーテンからの距離など消防で指示がある場合がありますので、こちらも行政に確認してみてください。
調べてみたところ、屋外のグランピング施設でドームテントを導入する場合、消防法について特に心配はいらないことがわかりました。
ただ、以下のような場合には、消防法の定める基準を満たしている必要がある可能性がありますので、前もって行政に確認してください。
ちなみに、防炎と難燃はほとんど同じ意味で使われることが多く、どちらも「ちょっと火種が当たったくらいでは燃え上がらない」「火種を当ててもその部分が焦げたり穴が開くだけで、燃えない」などの素材ですが、厳密には日本防炎鏡界で認定された素材のみ「防炎」と認められます。
認定された素材にはこのような「防炎」のタグがついているので、消防で「防炎素材を使用して下さい」と言われた場合には、このタグがついた製品を採用する様にしましょう。
(出典:jfra.or.jp)
また、前述したとおり、ドームテントが建築物だとみなされた場合には、建築物としての決まり(建築基準法)に則った素材を使用することが必要になりますので、注意が必要です。
以上、グランピングで宿泊棟としてドームテントを導入する場合、消防法は関わってくるのか?ドームテントの素材は難燃や防炎でないといけないのか?について調べてみました。
参考にしていただけたら幸いです!