ステイケーションとは、「泊まる(Stay)」と、「休暇(Vacation)」を組み合わせた造語で、どこか観光地へ旅行してホテルに泊まるという以上に、宿泊先でのんびりと過ごすことでリフレッシュをし、バカンス気分を味わおう、というものです。
良質な施設にゆっくり滞在することを目的としているため、飛行機や新幹線を利用したり、高速道路を使って遠くに移動しなくても、近場で楽しめることから、コロナ禍でも県をまたがずにできるレジャーとして人気が高まっています。
近場で済ませることができると移動時間も少なくて済むため、1泊2日でも十分に満喫することが可能。
リモートで仕事ができる環境を整える「ワーケーション 」もライフスタイルとして浸透してきていますが、「いっそのこと仕事のことは考えず、近場でゆっくり体と心を休めるステイケーションをしたい」というニーズに応えられるよう設備やサービスを整えている宿泊施設も増えてきています。
このステイケーション、「近場でもバカンス気分を味わいたい」というニーズに応えることのできるのが、まさにグランピングというスタイルです。
普通のホテルとは違って開放感があり、非日常の滞在ができるので、ひとときのバカンスを楽しむ滞在にとても適していると言えます。
でも、「ステイケーションをしたい」という利用者が、満足した滞在をするためには、それなりに設備やサービスを充実させる必要がありますよね。
というわけで、今回は、グランピング施設でステイケーションを提供するために揃えたい設備やサービスについてまとめてみました。
まずは、ステイケーションを提供するためにグランピング施設で用意したい設備です。
日中は観光をして、夜寝るだけのホテルとは違い、ステイケーションを目的として滞在する人はお部屋で過ごす時間も大切にしたいと考えています。
忙しい日常からほんのひととき切り離されて、非日常を感じつつも快適に過ごせるようなゲストルーム、例えばここ数年人気が高まっているドーム型のテントは、天井が高く開放的で、かつテントなので自然との距離も近く感じることができて、ステイケーションに向いています。
後述するエアコンとの相性も良く、断熱材の入った内壁のインナーを併用することで見た目にも高級感が増し、快適な空間作りが容易です。
グランピングの定番・コットンテントはカビやすいなどの難点があり、手入れが行き届いていないと逆にクレームに繋がりかねないので要注意です。
暑い夏でも涼しく、寒い冬でも暖かく、快適に過ごせることがステイケーションの大原則。
断熱材を取り入れられるタイプのドーム型テントや、機密性の高いトレーラハウスにエアコンを設置することで、効率よく快適な空間を作り出せます。
グランピングで人気のコットンテントは、見た目はとても可愛くてグランピング感もあり、エアコンも効かないことはありませんが、熱効率を考えると通年で快適な温度を保つのはなかなか難しいかと思われます。
断熱性・機密性が高く、エアコンなどの空調設備が効率よく使えるゲストルームを選んだ上で、性能の良いエアコンを導入するのがおすすめです。
簡易的なエアコンや、冬場に炬燵や電気カーペットだけ、といったスタイルは、普通のグランピング施設なら許容範囲の場合もありますが、ステイケーションを考える場合にはしっかりと快適温度を保ってルーム内の快適さを追求することが大切です。
グランピング施設でよく採用されているゲストルームというと、やはりテントですが、エントランス部分がファスナーのタイプは意外と出入りがしづらく、都度の開け閉めが面倒です。
何か物を持って出入りする場合にも、ファスナーは両手を使わないと開けることができないため、一旦物を置いて、開け、また閉めるという作業が何度も重なると、ストレスにもなります。
かといって、開けっぱなしにしておくと、特に夜間などは虫が入ってきてしまったり、またせっかくエアコンを導入してもなかなか室内の温度を安定させることができません。
そういった観点から、できればやはりドームテントやトレーラーハウスなど、開け閉めがスムーズに行えるドアタイプのエントランスがおすすめです。
アウトドア感覚で快適な滞在が楽しめるグランピング、ブームが始まった頃はシャワーやトイレが共用になっている場合がほとんどでした。
しかし、コロナ感染症対策の意味合いでも個別にシャワーやトイレを設置する施設も増え、今ではグランピング施設のスタンダードとして、ゲストルーム内または、ウッドデッキ上などすぐ近くに個別のお風呂 / シャワーやトイレが設置されるのが主流となりつつあります。
ステイケーションを提案するグランピング施設となると、やはり人の目を気にしたり、雨の中傘を持って移動したり、夜ランタンを持って歩いたり、といった手間やストレスなく過ごせるように、個別のお風呂 / シャワーやトイレを滞在するお部屋の中またはすぐ近くに設置するのがおすすめです。
予約制・貸切制でお風呂や温泉を提供している施設もありますが、滞在中に時間を気にしなくてはならないというのは実はけっこうストレスになる場合もあり、面倒に感じる人も多いかと思います。
できるだけ、時間や規則を設けることなく、開放的な気持ちで過ごせるような工夫が必要ですね。
ゲストルーム内にお湯が出る洗面台と鏡があることも大事です。
寝る直前や、朝起きてすぐに歯磨きをしたり、顔を洗ったり、寝癖を整えたり、といったことをわざわざ外に出て、人目を気にしながら行うのは抵抗があるという人は多いです。
お化粧をした後や、ヘアクリームを使った後には手を洗いたいですし、もう寝る直前の子供を連れて外に歯磨きに行くのも億劫です。
ただ、テント内に洗面設備を設置することで「建築物扱い」になり、消防の許可などが必要になる場合もあるので、あらかじめ管轄の都市計画課などで確認しておきましょう。
飲み物やアイスなどを冷やしておける冷凍・冷蔵庫も必須です。
大きいサイズのアイスクリームも入るように、小型の一体型のものではなく、ちゃんと冷凍室と冷蔵室が分かれているものがよいですね。
冷蔵庫もワインやシャンパンなどのボトル、缶ビール、水などの飲料と、チーズや生ハム、フルーツなどおつまみやデザートも入れられるようなゆとりのある大きさがベター。
なおかつ、おしゃれなインテリアにもなるようなデザイン性の高い物(ヴィンテージ風など)を選ぶと良いですね。
グランピング=テントにベッドがある、というイメージが定着しているほど、ベッドの設置は大切です。
また、マットも有名ブランドの品質の高い物を選ぶ、羽毛布団やシーツ、枕なども高級ホテルと同等程度のクオリティがあるものを選びたいですね。
また、定員4名に対してベッドは2台、残りはマットというパターンもありますが、マットやコット、あるいはソファーベッドも高品質で寝心地が良いものを選ぶようにしたいところです。
中には、電波を遮断し、日常を完全に忘れられる環境での滞在を望む利用者もいますが、基本的には「繋ぎたい時にwifiがある」環境を求められる場合が多いです。
センターハウスなどに移動しなければwifiが使えないというのも不便ですし、全てのゲストルームで安定したwifi環境を整えられるのがベストです。
プールやジャグジーはリゾート感覚を高めてくれて、より非日常感が高まります。
また、小さな子供連れの場合にもちょっと水遊びができることで家族みんなで楽しめるのが良いですよね。
アウトドア感をぐっと上げてくれるのが、焚き火台やファイヤーピット。
日が暮れてから、焚き火の炎をながめつつ過ごす時間は、グランピングの醍醐味でもありホテル泊では味わうことのできない特別な時間です。
夜寝る前にちょっと暖かい飲み物を飲んだり、朝起きて朝食の前にコーヒーを飲みながら寛いだり・・・、そんな時間のためにコーヒーメーカーや湯沸かしポットはお部屋に欲しいものです。
のんびりとくつろいだ滞在ができるために、ゲストルーム内・外のウッドデッキ上にソファーやテーブルのあるリビングスペースがあるのも大切です。
何もしなくても、自然の景色を前にゆったり座っているだけで癒される・・・そんなスペースができると良さそうですね。
快適なステイケーションプランを提供するために、揃えたいサービスをまとめました。
グランピングのサービスで、とても重要視されるのが食事です。
アウトドア料理ということでBBQプランが主流ですが、いかに「普段のBBQよりも数ランク上の食材や調理法」が提供できるかがかなりポイントになります。
いくら「食材の買い出しをしなくても良い」とはいえ、普段BBQで食べるような肉・野菜・締めにやきそば、みたいなBBQではやっぱり高評価を得ることが難しいのが現状です。
地元の食材をうまく取り入れ、ヘルシーかつボリュームのある美味しくておしゃれな料理をいかに提供できるか、しっかり寝ることが大切。
また、意外と「BBQはせわしなくてあんまり・・・」という人も多かったり、「連泊で毎日BBQも疲れる・・・」という声もあるかと思いますので、BBQ以外の料理も提供できるとベターですね。
前項の食事に関連することですが、手軽にハンバーガーやカレー、サンドイッチ、フライドポテトなど単品でお取り寄せができると嬉しいですよね。
ステイケーションだと基本、施設内からあまり出ずにのんびり過ごすというイメージなので、外に出なくても食事を運んでくれるケータリングサービスを近隣の飲食店などと提携して実現できると、サービスの幅が広がりますね。
グランピングでも、ホテルと同等のアメニティが用意してあるというのはかなり一般的になってきましたが、ステイケーションプランを行うためにもアメニティの充実は大切です。
また、子供向けのアメニティも用意してあると、細やかな気遣いが感じられていいですよね。
また、「あるか分からなかったから持って行ったら、あった」という行き違いを防ぐため、用意のあるアメニティはできるだけ細かく予約時に見れるようにしておくと親切です。
良い香りのする海外メーカーのシャンプーや、バスソルトなど、非日常を演出してくれるアメニティも人気。
家族の一員であるペットも一緒に滞在できる、というのも多いなポイントですよね。
これまでの「ペットがいるから旅行ができない」というハードルが徐々に下がり、特にグランピングでは「ペット可」のプランを用意している施設が増えています。
ドッグランが併設されていたり、専用の脚洗い場があったり・・・、愛犬家の皆さんも気軽にステイケーションできると、ぐっと客層の幅も広がります。
ちょっとしたトレッキングや、ヨガ、火起こし、虫捕り、天体観測など、アウトドアに関連するアクティビティに参加できるサービスも人気です。
グランピングならではの滞在に色を添えてくれるアクティビティ、施設内でのんびり過ごす時間にメリハリを与え、リフレッシュや新しい発見があって良いですよね。
以上、グランピング施設でステイケーションを提供するために揃えたい設備やサービスについてまとめてみました。
こうして見てみると、「ステイケーションを提供する」=「居心地の良いグランピング」ということで、ステイケーションに限らずいろんなグランピング施設で導入すれば、顧客満足度の向上にも繋がります。
参考にしていただけたら幸いです!