数年前からブームとなっているアウトドアですが、コロナ禍を経て、その勢いは増すばかり。
政府が立ち上げた事業再構築補助金でも、キャンプ場やグランピング施設など、アウトドア関連の事業で採択される事業主さんが続々と現れ、日本各地に新しい施設が次々とオープンしています。
そんな中、令和4年4月28日に福岡県が発表したのが、「個性ある宿泊施設整備補助金」の交付申請受付。
グランピングだけでなく、いくつかの条件を満たした「個性ある宿泊施設」の開業への補助金です。
地方活性化のためにも、宿泊施設に個性を持たせて観光客を呼び寄せようという興味深い補助金なので、その内容や条件・期間などをまとめてみました!
個性ある宿泊施設整備補助金とは、福岡県が令和4年4月28日に申請受付を開始した助成金で、その名の通り、個性のある宿泊施設の整備を目的とした宿泊施設の新設や改修を対象にしたものです。
個性的な宿泊施設を増やすことで、より多くの観光客が福岡県を訪れ、宿泊を楽しむことで滞在が長くなることで、旅行の消費額を増やすことが目的。
なかなか理にかなった補助金ですよね。
個性ある宿泊施設というのは、具体的には下記のような施設をさします。
要するに、その土地の歴史や地理、自然、文化などの魅力を活かした宿泊施設を新たに作ったり、改装・改築をするための資金について補助金が出る、ということですね。
古民家については、以下の様なガイドラインがあります。
(出典:mapion.co.jp)
補助金の対象となる古民家の規定:
原則、建設後 50 年を経過したものであり、かつ、以下のいずれかに該当するもの
(ア)国土の歴史的景観に寄与しているもの
(イ)造形の規範となっているもの
(ウ)再現することが容易でないもの
古民家と想像すると、100年とかそれ以上のとても古い日本家屋を想像しますが、築50年以上ということでかなり多くの物件が対象になるようです。
ただし、歴史的景観に寄与している、造形の模範になっている、再現することが容易でない、の部分に関しては少し判断基準が曖昧な部分もあるので、実際にどこからどこまでが補助金対象の古民家とされるのか、採択されてみないと分からない部分ではありますね。
基本的には「一般の人が古民家と聞いてイメージするような日本家屋」や「日本庭園のある家」などが採択されやすいようです。
宿坊というのは、寺院や神社に作られた宿泊施設で、元々は僧侶が寝泊りしたり、参拝者が心身を清めるために滞在していた歴史のある場所ですが、近年では一般の観光客向けの宿泊施設として日本各地で活用されるようになっています。
(出典:travel.rakuten.co.jp)
海外からの観光客はもちろん、国内の観光客も「お寺や神社に泊まる」という体験は「非日常な体験」として人気があります。
グランピングに関しては、要綱の中で「キャンプにおいて旅行者が宿泊するために必要なテントや飲食等の準備をすることなく、アウトドアでの宿泊体験ができる施設」と記載があるため、キャンプ場ではなく明確に「グランピング施設」を指していることがわかります。
具体的に「グランピング」という言葉が出る補助金は珍しいと思いますが、それだけグランピングが観光誘致対策としても注目されていることだと思います。
この補助金で条件となっているのが、宿泊施設の場所。
「福岡県内の広域観光エリアにおいて」ということが大前提となっています。
補助金対象となる広域観光エリアは、以下の市町村です。
(出典:mapion.co.jp)
地図で見ると、かなり広範囲にわたって対象の市町村がありますね。
既に観光地として人気のある糸島市や福岡市などのある西エリアには、対象の市町村がないことも分かります。
これから物件を探そうという方は、該当の市町村で不動産などあたってみることから、という感じですね。
この福岡県の「個性ある宿泊施設整備補助金」の補助率は、補助対象経費の1/2以内、補助上限額は1千万円となっています。
最も恩恵を受けるのは2千万円のプランで、半額の1千万円を補助してもらう形になりますね。
大規模なグランピング施設となるととても2千万円では難しいですが、小規模であったり、既存の施設を改修したりといったプランであれば可能だと思います。
もちろん、半額に満たないにしても1千万円が支給されるのであれば、かなり魅力的。
グランピングのみならず、古民家も宿坊も、今注目を集めている分野ですので、新しく始めて見るきっかけにもなるかと思います。
福岡県の「個性ある宿泊施設整備補助金」の対象者は、上記で記載したような個性ある宿泊施設を新設または改築する事業者で、暴力団や反社会勢力との繋がりのない者、となっています。
また、福岡県内の事業者の場合は、県税を滞納していないことも条件で、県税の納税証明書の提出が必要です。
他県の事業者であっても、福岡県の対象地域で対象となる宿泊施設を運営する場合には補助対象者になります。
福岡県に新規参入する事業者も増えそうですね。
「個性ある宿泊施設整備補助金」では、どんな経費を補助対象として申請できるかというと・・・、
かなり細かいところまで経費で組み込むことができますね。
では、どういったものが補助金対象にならないか、というと・・・、
補助金対象にならない経費として、特に注意したいのは「コンサルティングにかかる経費」と「土地の取得にかかる経費」ですね。
建物の新築や改築は補助金の対象ですが、土地は自分で取得しなくてはならないので、予算を立てる際に気をつけましょう。
「個性ある宿泊施設整備補助金」の申請方法や、必要書類、申請期間などについてまとめました。
「個性ある宿泊施設整備補助金」の申請は、事業提案書の提出(郵送またはメール)で行います。
押印は必要ないため、メールでもOKとのこと。
事業提案書とともに提出が必要な書類が色々とあるので、事項で紹介していきます。
補助金の申請には、以下の書類の提出が必要です。
フォーマットをDLして使うもの(ワードまたはエクセル形式)は、リンクからDLしてください。
(出典:pref.fukuoka.lg.jp)
上記書類を揃えて提出すると、県で審査ののち、採択or非採択が決まります。
古民家を利用した宿泊施設などは、審査基準があいまいではあるため、追加の資料(写真など)が必要になる場合もあるようです。
「個性ある宿泊施設整備補助金」の申請受付期間は、令和4年4月28日(木曜日)〜令和5年1月31日(火曜日)。
ただし、補助事業の実施期間は令和5年2月末までということで、令和5年2月末までに工期を終えなくてはなりません。
福岡県でこの補助金のために用意している予算が決まっているため、基本的に採択は先着順で、予算が終了次第打ち切りとなる可能性もあるため、検討している事業者は早めに申請の手続きを行うことをオススメします。
いかなる補助金もそうですが、採択された後に取り消しになる場合もあります。
その場合、補助金を返還しなくてはなりません。
以下のような場合が、返還の対象となります。
(出典:pref.fukuoka.lg.jp)
詳しくは、福岡県のサイトおよび福岡県が公開している「個性ある宿泊施設整備補助金の要項」を参照してみてください。
福岡県個性ある宿泊施設整備補助金交付要綱 [PDFファイル/313KB]
福岡県個性ある宿泊施設整備補助金実施要領 [PDFファイル/220KB]
以上、福岡県限定の「個性ある宿泊施設整備補助金」についてまとめました。
福岡県で施設を運営するのであれば、他県の事業者でも申請できるということなので、自然や歴史・文化にあふれる福岡県で新しく事業を始めてみようという方は是非、活用してみてください。
参考にしていただけると幸いです!