「平日の稼働率」を上げたい。それは多くのキャンプ場が抱いている願いではないでしょうか。
キャンプブームと言われる現在でも予約で埋まるのは土曜日ばかり。
せっかくの施設を遊ばせない、平日の稼働率を上げるためのアイデアのひとつをご紹介します。
日本オートキャンプ協会発行の『オートキャンプ白書2019』によると、2018年のキャンプ場の平均稼働率は2017 年の15.0%から 1.6 ポイントの上昇。
7年連続で前年を上回りました。
2016年 14.0%
2017年 15.0%
2018年 16.6%
出典:日本オートキャンプ協会
ほぼ土曜日が埋まっている状態でこの数字、上昇しているとは言え稼働率は10%台半ばというのが現状です。
シニア、ソロキャンパー、インバウンド旅行者の利用増加で年々上昇が見られるものの、まだまだ平日の利用は少ないと言えます。
予約が埋まりやすい週末のイベントを企画するよりも、平日に利用してもらうためのプランを用意することで、平均稼働率を上げることができそうです。
個人キャンパーの利用が増えるのももちろんうれしいことですが、もっと大幅に平日利用を増やす方法はないでしょうか。
そこで注目していただきたいのが、企業が実施する社員研修の場としてキャンプ場を使ってもらう方法です。
新入社員のため、社員のスキルアップのためなど、教育研修に予算と時間を割く企業は年々増えています。
産労総合研究所によると、企業における教育研修費用の総額は2016年から2018年まで、3年連続増加となりました。
2019年の調査では若干減少に傾きましたが、教育研修費用実績額は依然として高い水準をキープ。
特に中小企業では一人当たりの額が増加傾向にあり、各社教育・研修への関心の高さが伺えます。
出典:産労総合研究所
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/kyoiku/kyoikukenshu/pr_1910.html
社員の教育に対し、大手から中小まで、企業は様々な取り組みを行っている中で、「研修」と聞いたときにイメージするようないわゆる講義型だけでなく、さまざまなタイプの研修を採用する企業も現れ始めました。ここ数年注目度が急上昇しているのが、キャンプ場を使った体験型アウトドア研修です。
キャンプ場の平日稼働率を上げる方法として、企業研修の誘致が最も効率的です。
アウトドア研修は、1970年代にアメリカで始まった研修スタイルです。
体を体験活動を中心とした研修スタイルは、体を動かしながら学習することで、座学のみの研修よりも効果が出やすくなると言われ、学習定着率が高くなる傾向にあります。
学習定着率が上がるだけでなく、以下で紹介するアクティビティコンテンツを取り入れることで、仲間意識を芽生えさせる効果も期待できるんです。
こういった評判から、日本でもチームビルディングだけでなく、新入社員研修やリーダー研修、管理職向けの研修としても採用する企業が増えてきました。
このような企業研修を多く誘致して、平日稼働率をアップさせていくと良いでしょう。
以下では、参考までにアウトドア研修の代表的な5つのアクティビティコンテンツを紹介致します。
まずは緊張感を取り除いてリラックスするためのちょっと活動を指します。例えばちょっと変わった自己紹介などを取り入れると、互いの理解が深まります。
目隠しをしたメンバーに目の見えている人が指示を出し、チームでテントを設営します。目隠しをして見えない状態というのは、配属されたての新入社員の疑似体験とも言えます。相手の状況や視界への思いやり、的確な指示の出し方、コミュニケーション力、すべて出し切って力を合わせないとテントは立ちません。まさにチームビルディングに効果の高いアクティビティです。
山野の中を与えられた地図、コンパスを使い、手掛かりを見つけながら制限時間内に目的地に到達する、オリエンテーリングのような活動です。途中にはいくつか課題やミッションが用意され的確な判断力やチームワークが試されます。コミュニケーション不足の解消やチームビルディングへの効果が認められ、タイムマネジメントといった、仕事上でも必要な能力を求められるゲームでもあります。
文字通り野外での調理です。料理は日々の生活でも当たり前の行為ですが、実はたくさんの工程を経る作業です。しかも同僚と慣れない道具や設備で行うため、分業や手順が重要となります。チームごとに味や出来栄え、手際などを競えば協調性、企画力、プレゼン能力なども鍛えられます。
一人が1m前後の台の上に上がり後ろ向きに倒れるのを、他のメンバーが作った人間の網で受け止めるゲームです。仲間を信じてゆだねる気持ちが必要となります。リスクを承知でチャレンジする精神、メンバーとの信頼関係の構築が期待されます。危険が多い分、達成感も大きくなり、可視化されることで信頼をより具体的に体感することが出来ます。
こういった活動が行えるだけのスペースどりを工夫して、マップ等に載せるとわかりやすくなりそうですね。
実施する企業にもメリットの多い体験型アウトドア研修ですが、利用していただくことで経営側にも大きいメリットがあります。
業務の一環として行われる企業研修の場合、一般ユーザーで混雑する休日を避け平日に企画されることが多く、まとまった人数の利用が期待できるでしょう。
また、単に施設を貸し出すのではなく、チームビルディング向けの効果的なプログラムを用意することで、専用の料金設定が出来るのは、利用客獲得以上の価値があると言えます。
チームビルディングに有効なアクティビティをメインにしたプランです。リーダーシップ・フォロワーシップの向上、体験を共有することでの結束力の強化など、現場に有効な効果が期待できます。
1日目
2日目
キャンプ場という非日常空間で、普段できないさまざまな体験をすることをメインにしたプラン。メンバー同士で特別な思い出を共有することで、それまでにない信頼関係が生まれます。
1日目
2日目
手ぶらで豪華なキャンプが出来る話題のグランピングを利用し、保養要素が多めのプラン。気軽に楽しみながらコミュニケーションを図ります。自然を感じながらおいしい空気の中で過ごすことで心も体もリラックスできます。夕食をバーベキューにして、そのまま星空の下のキャンプファイヤー。暗がりに揺らめく焚き火を囲めば、本音で話しやすくなります。
1日目
2日目
以上、キャンプ場の平日稼働率アップのアイデアとして、アウトドアで行う企業研修受け入れの有用性と内容についてご紹介しました。
企業向けのアウトドア研修は、これからますます市場拡大が予測される分野です。本気で施設の有効活用と稼働率対策を考えている経営者にとって十分検討に値するアイデアではないでしょうか。