ここ数年、大ブームとなっているグランピング。
5年ほど前には一部の人しか知らなかったであろう言葉ですが、今では多くの人が体験し、日本各地に様々なグランピング施設が続々とオープンしています。
アウトドアを感じられ、自然の中に溶け込むスタイルのテントが主流だったグランピングの宿泊棟も、個性的な形のドームテントやトレーラーハウス、ツリーハウスなど、様々な形で施設それぞれの個性になっていますよね。
そんな中、2022年に注目を集めているのが3Dプリンターを使った宿泊棟。
d3Dプリンターというと、小さな模型などを作るようなイメージですが、なんと今では建物まで作れてしまうのですね・・・!
工期も短く、価格も一般的な住宅に比べて遥かに低コストということもあり、今後住宅の分野でもどんどん浸透していきそうな3Dプリンターハウスを体験できるグランピング施設をご紹介します!
3Dプリンターというと、ぱっと頭に浮かぶのは白い樹脂のようなもの。
それを少しずつ重ねていって、プログラムされた形を作り出す3Dプリンターのイメージが強いですよね。
3Dプリンターハウス、と聞くと、「樹脂でできたおもちゃの家のような感じなのかな」と想像しがちですが、実はしっかりとしたコンクリートでできたものなのだそう。
例えば兵庫県西宮市にある企業「セレンディクス」が販売を開始した「スフィア」というモデル、10平米で重さはなんと22t。
(参照:suumo.jp (C)CLOUDS Architecture Office)
厚さ30cmのコンクリート壁でビルのように頑丈なうえ、耐震性・断熱性にも優れていて、安心して暮らすことができる住宅への応用もこの先計画されています。
(参照:suumo.jp (C)CLOUDS Architecture Office)
木材の価格高騰もあり、家を建てるには高額のお金が必要となり、ほとんどの場合は住宅ローンを組む必要がありますが、3Dプリンターハウスは工期が短いために、数百万円代で作ることができるというのも大きな魅力。
耐震基準など建築基準法が厳しい日本では、3Dプリンター住宅の実現は不可能と言われていましたが、研究を重ねてついに実現したことは、世界中でニュースになったそうです。
セレンディクス社では、日本の建築基準法を満たした3Dプリンターの家(49平米)を2023年春から500万円以下で販売する計画とのこと。
(参照:suumo.jp (C)CLOUDS Architecture Office)
それに先駆けてまずはグランピング施設などで3Dプリンターハウスを体験してもらうため、10平米のスフィアをグランピング向けに販売中です。
(参照:suumo.jp (C)CLOUDS Architecture Office)
3Dプリンターハウスへの注目と期待が高まる中、2022年夏に北海道・新冠(にいかっぷ)町で、日本初3Dプリンター建築に宿泊できるグランピング施設がオープンしました。
その施設があるのは、北海道・新冠町の「太陽の森ディマシオ美術館」。
廃校を利用したノスタルジー感あふれる美術館で、フランスの幻想絵画家・ジェラール・ディマシオによる世界最大の絵画(高さ9m、幅27m)をはじめ、ディマシオの代表作200点以上を収蔵している美術館です。
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
その広々とした庭園の一角に、グランピング施設「GLAMPING VILLAGE 紅葉の里」があります。
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
ころんと可愛らしい形の卵形の建物を含む、3棟の宿泊棟が並んでいて、それぞれの敷地を遮る壁も3Dプリンターで作られています。
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
この日本初の3Dプリンター宿泊施設を手掛けたのは、 北海道・苫小牧の「會澤高圧(あいざわこうあつ)コンクリート」。
コンクリートに関するあらゆる事業を手がけてきた会社で、自然治癒するコンクリートや環境に優しいコンクリートなど、先進的な取り組みも積極的に行っています。
そんな會澤高圧コンクリートは2019年から3Dプリンター建築の研究に着手し、2020年には3Dプリンターで印刷した公衆トイレを発表して大きな話題となりました。
(参照:suumo.jp / 會澤高圧コンクリート)
太陽の森ディマシオ美術館の依頼を受けて、作られた3Dプリンターの宿泊棟は、アームロボット式のコンクリート3Dプリンターを用いて建設されています。
10平米以下なので、建築物としての申請は必要ありませんが、しっかりと建築基準法の規格を満たす構造で作ってあるというのも安心感がありますね。
壁の内部に空洞をつくり、断熱材を入れることで断熱性や遮音性にも優れていて、宿泊したお客さんからも好評なのだとか。
(参照:suumo.jp / 會澤高圧コンクリート)
球形や幾何学的な壁の造りなど、一般の建築では難しい形状が可能にな3Dプリンターならではの、個性的なたたずまいが本当に魅力的ですよね。
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
↑幾何学的な凹凸のある壁がライトアップされて幻想的な雰囲気に。
3Dプリンターで作った宿泊施設、これからどんどん増えていく予感ですが、すぐに泊まりたい!という方はぜひ北海道へ足を伸ばしてみてくださいね。
3Dプリンターの宿泊施設、体験したい!という方のために、GLAMPING VILLAGE 紅葉の里へのアクセスと料金プランをご紹介します!
「GLAMPING VILLAGE 紅葉の里」がある「太陽の森ディマシオ美術館」があるのは、北海道の南部。
ちょうど札幌と帯広の真ん中下あたり、新千歳空港からは日高自動車道を通って1時間20分ほどの距離です。
日高自動車道の厚賀ICから車で約20分、北海道ならではの大自然を感じられるドライブも楽しめますね。
〒059-2343 北海道新冠郡新冠町太陽204-5
01-4645-3312
チェックイン:14:00~17:00
チェックアウト:11:00
定休日:なし(美術館は月火定休)
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
GLAMPING VILLAGE 紅葉の里では、選べる夕食・朝食つきのプランで宿泊ができます。
予約サイトで3つの宿泊棟のうち、好きなタイプを選ぶことができ、料金はお部屋のタイプにかかわらず一律、以下のようになっています。
1名利用 | 41,800円(税込)/ 棟 |
2名利用 | 50,600円(税込)/ 棟 |
3名利用(10月末まで) | 66,400円(税込)/ 棟 |
4名利用(10月末まで) | 82,200円(税込)/ 棟 |
3Dプリンターの寝室の定員は大人2名(+12歳までの添い寝の子供1名)で、それ以上の場合は、外にエキストラテントを用意してもらえます(10月まで)。
(参照:suumo.jp / dimaccio-glamping.jp)
室内はすっきりとシンプルなつくりになっています。
3つの区画にはそれぞれ、トイレ・シャワーのあるサニタリー棟が備えてあるので、プライベート感も確保できるのも魅力。
グループで全棟貸し切りもできるそうなので、仲良し家族や友達グループと訪れるのも良さそうですね。
ちなみに、宿泊料にはディマシオ美術館の入館料も含まれていて、滞在中は何度でも美術館を訪れることができるほか、広い庭園を散策したり、日向ぼっこしながら読書したり、スケッチブックを開いたり・・・、アートと自然を感じられる滞在ができること間違いなし。
宿泊者限定の、ナイトミュージアム(17:00〜21:00)も幻想的でオススメです。
以上、3Dプリンターハウスと、日本初・3Dプリンターを使って作られた宿泊棟に泊まれる施設「GLAMPING VILLAGE 紅葉の里」をご紹介しました。
3Dプリント住宅もついに日本の建築基準法に適合できるようになり、これから先どんどんと需要は高まっていくと思います。
3Dプリンターで作った宿泊棟のグランピング施設もこれから増えそうで、楽しみですね!
参考にしていただけたら幸いです。